チーコさんの動物占いルポ

相談者のデータ 2018年12月21日

猿
  • ゴールドのペガサス
  • 女性
  • 20歳
  • 感性に富むものの、とらえどころがなくミステリアスな印象が強い。
悩める人々を救いたい一心で行っている占いカウンセリング。最近、どんなことで悩むのか、キャラクターごとにいくつかの傾向があることに気づいた。先日私のカウンセリングルームを訪れたのは、ペガサス×ゴールド・女性・20歳。感性に富むものの、とらえどころがなくミステリアスな印象が強い。彼女も例外に漏れず……
次の相談者を呼んだが入室する気配がない。カウンセリングルームのドアを開けて廊下をのぞき込み、もう一度名前を呼んだが応答はなかった。「さっきまで私の隣で待っていたんですが、はて?」と、次の次に呼ぶはずの相談者が首をひねった。目の前にいる相談者を先に占い、呼ぶはずだった相談者には事情を話して許していただこう。仕方なくカウンセリングルームに戻ると……いるではないか! 栗毛でショートカットのうら若き女性が、相談者用の椅子にちょこんと腰かけている。
お呼びしたんですよ!でも、いらっしゃらなくて
ずーっとここで待ってたのに、全然気づいてくれないんですもん!
彼女は頬をふくらませていたが、私が「ごめんなさいね」と謝ると、すぐに笑顔を見せた。頬をふくらませているときは分からなかったが、笑うとえくぼが浮かぶ。
あのですね、見えちゃうんです
見える?何がですか?
……妖怪が!でも、幽霊みたいなおどろおどろしいものじゃなくて、私に見えるのは、カッパとか座敷わらし、昨日はひとつ目小僧に会いました。そうゆう世界を見ると、め~っちゃ疲れるんです。占いの力で、なんとかしてもらえませんか~?
私は何の話かまるで理解できなかった。よほど怪訝な顔をしていたのだろう。彼女が慌てて補足した。
変なこと言ってすみません!この話をすると、み~んな不思議そうな顔になるんだもん。信じてもらえなくて当たり前~!
いや、彼女には本当に見えるのかもしれない。ゴールドのペガサスは鋭い感性を持ち、発想の翼はどこまでも自由だ。考え方が枠に縛られることもない。私たちはカッパを見ても、気分が悪くて青ざめている人が、カンカン帽子を被り、リュックを背負っていると思うだろう。でも、感性で生きているゴールドのペガサスは常識を取り払い、目で見たままを心で感じることができる。
妖怪を見るのは忙しいときや体調が悪いときかしら?……ホラー映画を見た直後かも……
混乱してたどたどしい私に、彼女はもう一度えくぼを見せる。
占いの先生、まじめでいい人ね。ちょっと、からかいにきただけ!見えるわけないじゃん!ごめんね!バイバイ!
・・・
占い師さん!聞こえますか!?
肩をゆすられて私は覚醒した。先ほど廊下で待っていた相談者が、まったく呼ばれないことを心配して、様子を見にきてくれたようだ。私は机に突っ伏して眠っていたらしい。廊下で私と話した覚えはないと言う。
おっとっと!この椅子、濡れてますよ!
と慌てる相談者を見て思った。彼女はいたんだ。ミステリアスなゴールドのペガサスはここに座っていたんだ、と。