チーコさんの動物占いルポ

好きな男性に告白したいけれど、彼に避けられていて、どんなふうに話したらいいのかと不安そうだ。目が大きくアゴがほっそりしている。アイドルみたいにかわいい彼女が、なぜ避けられていると感じるのか不思議だった。未来を探る予言書に目を落とす。

彼女は知っていると断言したが、予言書は占いを生業をしている者だけが入手できる特殊な本だった。彼女に悪びれた様子はないが、このような知ったかぶりが、彼も気になるのかもしれない。

彼女は急に涙ぐんで過去の経験を話し出した。聞くところによると、高校生のころ、年上の男性に告白したら「知的な女性にしか興味がない。キミは物事を知らなすぎる」とフラれたそうだ。お嬢さま育ちの彼女は世間知らずだった。知的な女性でもすべて知っているわけではないと思うが、彼女の無邪気なプライドがガタガタに傷つけられたはずだ。それからの彼女は「知っている」と発言することで、心の痛みを忘れようとしてきたのだろう。相手はなんと罪作りな男。この恋から彼女を蘇生させるためには占いの力が不可欠だ。

彼女は「お世辞でも嬉しかったです」と答えて、ハンカチを湿らせていた。でも、彼女を知的だと言ったのは、お世辞でもなぐさめでもない。占いの結果がそれを伝えているのだ。さらに、占いで導き出したもうひとつの結果がこれだ……彼女はいずれ良妻賢母になる。