チーコさんの動物占いルポ

相談者のデータ 2019年06月14日

猿
  • オレンジのひつじ
  • 男性
  • 34歳
  • 周囲に合わせる才能を持つが、うっ積したものが突如あふれ出すことがある。
悩める人々を救いたい一心で行っている占いカウンセリング。最近、どんなことで悩むのか、キャラクターごとにいくつかの傾向があることに気づいた。

先日私のカウンセリングルームを訪れたのは、ひつじ×オレンジ・男性・34歳。周囲に合わせる才能を持つが、うっ積したものが突如あふれ出すことがある。彼も例外に漏れず……
取引先の社長に『お宅は信用できませんな』と言われました
彼は有能な銀行マンだ。こちらの手の内を見せることなく、相手をコントロールできる。社交性抜群のオレンジのひつじだが、昭和の頑固オヤジタイプはやや苦手だった。
その会社の忘年会に呼ばれまして、お酌に回っていました。皆さんの酔いが進んできたころ、余興が始まったのですが……社長にドジョウすくいをやれと言われたんです。社長自身もズボンをたくし上げ、ネクタイを頭に巻き、くわえた楊枝を鼻に差していまして。ビジネスのためならなんでもしてきた私が、ええ、命令されればドジョウすくいだって、腹踊りだってしますよ。それでノルマが達成できるならね。その日に限って虫の居所が悪かったんです。朝から上司とすったもんだがありまして。結局、渡された楊枝を鼻に差すことはできませんでした
取引先の社長は田舎育ちで苦労してきた。貧しかったものの、そこに住む仲間は人情に厚かった。にぎやかな席をシラけさせた彼を、薄情な人間だと一喝し、信用できないと引導を渡したのだ。
あの会社とうまくいかなければ、もう切るカードがないんです!社長の信用を取り戻すには何をすればいいでしょうか?
彼は礼儀正しく常識的なオレンジのひつじだ。私には、ドジョウすくいをしなかったことが今回の決裂の原因ではないように思えた。
取引先の社長は昔気質なキャラです。義理人情に重きを置いているので、今回のあなたの行動が冷たく見えたのかもしれませんね。何度も足を運んで、あなたの人柄を知ってもらうことが大事です。その社長には、特別な事情があるのかもしれないわ
彼は社長のもとに通い詰めた。ビジネスのためではあるが、ビジネスも血の通った人間がしていることだ。そこにはノルマよりずっとずっと大切な、人と人とのつながりが存在する。門前払いを食ったときもあったが、次第に社長の態度が軟化し始めた。ある日、社長がこんなことを話した。
「新しい担当になったキミを見たとき、息子が生き返ったのかと思いましたよ。雰囲気が似ているんですわ。話すテンポや笑い声も。ドジョウすくいを拒絶されて、息子に反旗をひるがえされた気になってしまった。息子の反抗期時代はひどくてね。私より先にこの世を去るなら、あんなに叱らなければよかった。今回の無礼、私が悪かった。許してもらえないだろうか。キミはよくやってくれているよ。わが社が業績を上げているのは、キミの助言があったからだよ」
彼も初対面のときから、亡き父の面影をこの社長の中に見ていた。ビジネスを忘れ反発したのは、父のような社長に甘えたかったからかもしれない。