チーコさんの動物占いルポ

相談者のデータ 2019年06月21日

猿
  • レッドの狼
  • 男性
  • 40歳
  • 自分の流儀に強いこだわりを持っている。それを否定する人にはドライな対応をする。
悩める人々を救いたい一心で行っている占いカウンセリング。最近、どんなことで悩むのか、キャラクターごとにいくつかの傾向があることに気づいた。

先日私のカウンセリングルームを訪れたのは、狼×レッド・男性・40歳。自分の流儀に強いこだわりを持っている。それを否定する人にはドライな対応をする。彼も例外に漏れず……
彼は和菓子屋の2代目だ。先ごろまで定職につかずフラフラしていたが、父親が病に倒れてしまった。病床の父に頼み込まれ、ついに和菓子職人の道に進むことを決めた。
オレが和菓子屋を継ぐと決めたら、すっかり元気になったんですよ。仮病だったんだぜ。けど、和菓子を作るのは面白いな。あずきの煮方はまだまだ半人前。オヤジは『見て盗め』ってタイプで、まあ、オレも放っておかれるほうが性に合ってますね
半人前と自分で認めている彼だが、それでも和菓子作りへの情熱はホットだ。
どんな職人も作っていないものを開発したいんですよ。たっぷりの生クリームをトッピングしたら、若い人にも和菓子に親しんでもらえると思うんですよね。どら焼きの生地にウインナーを挟むとか、いろいろ試行錯誤してますよ
お父さまの了承は得られないのですね?
オレを一喝ですよ。『ケーキやパンじゃねえんだ!工夫するなら和菓子の世界で工夫しろ!』だとさ。ガンコなオヤジをどう説得するべきか、いい手を教えてもらえません?
和菓子は芸術作品だ。季節や心情を和菓子ひとつで伝えることができる。季節の贈答品には涼しさやあたたかさを演出した和菓子が、茶会ではもてなすお茶の濃さに合わせた和菓子が選ばれるだろう。祝いの席や法事でも、その場にふさわしいものが出されるはずだ。日持ちするものしないもの、一人前の職人になるには学ぶべきことが山ほどありそうだ。
お父さまは和菓子で工夫することは喜ばれていますよね。洋菓子やパンにこだわりすぎないほうがいいわ。あなたは自分にしかできないことでトップを目指す人。和菓子の世界で飛躍できるはずよ
小学校に入り、彼は自分と友達の環境が随分違うことに気がついた。友達の家では、誕生日に生クリームたっぷりのホールケーキが出てくる。朝はパンの焼けるいい匂いがして、ウインナーなどを挟んで食べると聞いた。でも、彼の家では誕生日に草もちが出て、朝は前日に試作した赤飯が食卓に上ることもある。人と違うことが嬉しいレッドの狼も、ケーキとパンの魅力には勝てず、和菓子屋に生まれたことを嘆いた。そのことを聞いて、和菓子から離脱してしまう彼の気持ちが私にも痛いほど分かった。
和菓子職人として海外留学すると報告にきてくれた彼は、壮大な夢を見つけていた。「洋菓子作りから吸収したものをすべて和菓子作りに生かすつもりです。クリスマスケーキの主軸を和菓子に変えたくて燃えてますよ。メレンゲ人形にも負けないぜ!サンタやモミの木、練り切りあんで精巧に作ってみせます」と言ってスーツケースを動かすと、車輪が元気な音を立てた。